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2003/08/19(火)

・その人の言葉で、その人の気持ちで

 福祉施設で指導員として働いている時のことです。そのフロアのまとめ役のような役割でそこにいた私は、あと二人いた指導員に細かなことを任せて、全体の流れを見ていたんです。そして、初老の利用者さんに対して、その若い指導員が(と言っても私はもっと若かったりします)、「○○さん、ピンクのかごを取って。」と頼んだのですが、その利用者さんは、あたふたして赤いかごを持ったり、青いかごを持ったりしています。「違う、違う、ピンクのかご。」どうも話がかみ合っていないようでした。そんな会話が1分ほど続いていたので(作業指導中の一分って長いものです)、私が「○○さん、桃色のかごのことだよ。」と一言。「ああ、これね。」と次の作業に移ることが出来たのでした。その後の3時の休憩時間は、黄緑色は若草色、ピーナツは南京豆、等々の話題で盛り上がりました。

 これは世代によって同じものでも呼び方が違うという例でしたが、同じ言葉でもその時やその人との関係性の中で意味合いが違ってくることがあります。例えば、馬鹿といっても本当に相手をバカにしているときに使う場合もあれば、親しみを込めて冗談で使うこともあります。言葉だけにこだわって、行き違いがあって喧嘩にいたる場合もあります。相手の言葉どおりに動いたはずが失敗に至ることもあります。言葉は心の全てを表現するツールにはなりえません。相手がどういう意味でその言葉を使っているかも少しだけ考える余裕があると、少しだけ視野が広がるものだと思います。

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