T  O  P  へ    もう一つの独り言へ

今まで、たくさんの話をお聞きしてきました。
つらい事、悲しい事、そして嬉しい事も。
どんな優しい言葉も、慰めも、アドバイスもまったく届かない。
孤独な世界で一人苦しんでいる人がいます。
私だって独りつらくなる事もあります。
この世界が楽しい事ばかりではない事も少しだけ知っています。
その道が明るい未来ばかりではない事を少しだけ分かっています。
でも、今は感じることはできないとしても、
「独り言」も誤魔化しではない事を頭の片隅にとどめておいて欲しい。
出来るなら、「大切なきみへ」改め、「もう届かない君に」を読んでから「もう一つの」に入って欲しいのです。

・もう届かない君に

 私は古新聞のようになりたい
 この世に一つしかない壊れやすいコップのようなあなたのこころを
 きれいなリボンのように飾ってあげるのではなく
 明日の日常が始まるまで つつんで傷つくことから守りたいから

 私は古新聞のようになりたい
 雨に降られぬれてしまった靴のようなあなたのこころを
 高価な洗剤のようにきれいに洗ってあげるのではなく
 明日の朝に 湿気を吸って歩き出せるようにしたいから

 私は古新聞のようになりたい
 太い木切れのように固く燃えにくくなってしまったあなたのこころを
 ガスやオイルのように一気に燃え上がらせてあげるのではなく
 自分が火種になって ゆっくり燃えるよう手伝いたいから

 私は古新聞のようになりたい
 毎朝、眠そうなあなたを
 今朝の新聞のように新鮮で活気のある話題で押し出してあげるのではなく
 掃除の時に手を止めて読んで昔を懐かしむような
 ほのぼのとした気持ちを届けたいから
 
 古新聞はいつまでも一緒にはいられないけれど
 その時はきれいなティッシュと交換して下さい
 そしていつものあなたの生活のそばにあるそれを大切に
 そう それで充分なのです
 連絡がないのは楽しく暮らしている証拠
 そう思います
 必要になったらその時にまた呼んでくれたらいい
 それでいいのです

 そう感じるようになってから
 部屋の隅でまとめられた 押入れやたんすに敷かれた
 あの古新聞たちが
 私にたくさんのことを教えてくれる大切な存在になった